日本トキシコロジー学会学術年会
第34回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-34
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発がん性
ラット二段階肝発がんモデルにおけるFenofibrate (FF)誘発肝発がんプロモーションに対する抗酸化物質N-acetylcysteineの修飾作用
*西村 次平出羽 康明六車 雅子金 美蘭三枝 由紀恵川合 正臣高畠 正義松本 明安野 弘修三森 国敏
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抄録

【目的】我々は、現在までにPPARαアゴニストであるFenofibrate(FF)のラット肝発がんメカニズムに酸化ストレスが関与する可能性を見出している。今回、酸化ストレスとの関与を更に詳細に検討するため、FFを用いたラット二段階肝発がんモデルに対し抗酸化剤N-acetylcysteine(NAC)を併用投与した時の修飾作用を検討した。【方法】雄性F344 ラットにDEN単回腹腔内投与し、その2週後からFF 3000ppmを投与開始しその後16週間混餌投与を行った。FF投与開始1週後には2/3肝部分切除を、その1週後から0あるいは3000ppmのNAC飲水投与を開始した。得られた肝臓に対し、H.E.検査、免疫染色(抗Ki-67抗体)、酵素活性測定(CAT; CPT; FAOS; Catalase; SOD)、Real time RT-PCRを行うと共に、肝抽出ミクロソームを用いたin vitro ROS測定を行った。【結果及び考察】体重、摂餌量、肝重量、酵素活性、肝抽出ミクロソームを用いたin vitro ROS測定においてはNAC併用の影響は認められなかった。一方、Real-time RT-PCRでは、NAC併用により脂肪酸代謝(Cyp2b15)及び抗酸化酵素関連遺伝子(Gpx2)の発現上昇、細胞周期/アポトーシス関連遺伝子(Tp53)の発現低下が認められた。細胞増殖活性においてはNAC併用により上昇傾向が認められたが、有意差は認められなかった。病理組織学的検査では両群ともにhepatocellular altered fociが認められたが、その数に差はなかった。以上の結果より、本試験条件下では、NACはFF誘発肝発がんプロモーションに対して抑制作用を示さないものと推察された。

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© 2007 日本毒性学会
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