日本トキシコロジー学会学術年会
第34回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-35
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発がん性
PCB126胎生期暴露のBBN誘発ラット膀胱発癌への影響について
*小林 康子熊倉 由香武藤 朋子横尾 清文遠藤 仁金井 好克和久井 信
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キーワード: PCB126, BBN, ラット膀胱発癌
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抄録

ダイオキシン類による汚染は現在地球規模で広がっているが、そのうち3,3’,4,4’,5-pentachlorobiphenyl (PCB126)は水・堆積物・魚・野生動物、およびヒトの脂肪組織・ミルクならびに血清を含む地球の生態系のほとんどすべての構成要素に汚染物質として検出されている、また他のダイオキシン類に比べその生物濃縮性が高いことが知られている。さらに、胎盤・授乳を介して次世代に移行するため次世代への影響が示唆されている。我々はPCB126胎生期暴露が、次世代ラットにおけるN-butyl-N-(4-hydroxybutyl) nitrosamine (BBN)誘発膀胱癌へいかなる影響をおよぼすかについて検討を行った。SD(Slc)ラット妊娠13~19日目までPCB126を7.5ug/kg/day、250ng/kg/day、2.5ng/kg/day、0g/kg/day連日経口投与を行った。出生後、8週齢から10週間0.05%BBNを連続飲水投与後、18週後に安楽死後剖検を行った。膀胱発癌率はPCB126暴露群と対照群の間で有意な差は認められなかった。しかし、免疫組織化学的検討からPCNA、Cyclin D1等の腫瘍細胞での発現は、対照群と比較してPCB126暴露群で有意に増加していた。さらに、他の腫瘍関連因子の発現の検討から、BBN誘発ラット膀胱癌の生物学的特性が胎生期PCB126暴露によって影響を受けることが示唆された。

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© 2007 日本毒性学会
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