日本トキシコロジー学会学術年会
第34回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-85
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循環器系
同一生産コロニーのビーグルを用いたQT補正式の研究施設間での比較
*阿部 純子原田 拓真塩谷 元宏澤田 欣也浜田 悦昌
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キーワード: QT間隔, ビーグル犬
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抄録
【緒言】イヌは毒性試験でだけでなく安全性薬理試験においても循環器系検査に汎用される動物種である。一方,心電図検査の評価項目の一つであるQT間隔は,心拍数の影響を補正して評価するのが一般的である。しかしながら,イヌの場合,複数のQT補正式が提唱されており,その背景にはビーグルの生産コロニー,飼育環境,心電図測定条件等の違いがあると考えられる。そこで我々は,Marshall社産のビーグル犬を用いているファイザー社内の5研究施設について,各々のQT補正式,背景データの分布を比較した。さらに全研究施設の背景データに基づいて作成したQT補正式を名古屋研究所のデータに適用してQTcを試算することにより,その補正能力を検証した。【結果および考察】ファイザー社内の5研究施設のQT補正式は,研究施設ごとにそれぞれ異なる直線または指数モデルを用いて作成されていた。測定体位は懸垂位または右横臥位であるが,研究施設間でQT-RR間隔の分布に大きな偏りはみられなかった。そこで,全研究施設の背景データから作成した補正式で直線および指数モデルを比較したところ,わずかに指数モデルの方が良い相関を示した。さらに,名古屋研究所由来の補正式と全研究施設の背景データ由来の補正式を名古屋研究所の背景データに適用して比較したところ,両補正式によるQTc変動幅はいずれも10%以内(8.4-8.5%)であった。また,HR-QTc相関図の傾きはいずれの補正式を用いた場合もほぼゼロであり,HRの影響を十分に補正できていることが示された。以上の結果から,測定時の体位や研究施設が異なっていても同一生産コロニーの動物については一つの補正式を用いたQT評価が可能であることが確認された。
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© 2007 日本毒性学会
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