日本トキシコロジー学会学術年会
第34回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-105
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血液造血器系
イヌにおける骨髄検査法:フローサイトメーターによる骨髄有核細胞数と骨髄細胞比率の同時測定について
*倉田 昌明飯高 健吉川 理恵
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キーワード: イヌ, 骨髄, サイトメトリー
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抄録

目的:毒性試験で用いられるイヌの骨髄検査に関し,骨髄有核細胞数と骨髄細胞比率の同時測定法についての報告はほとんどみられない。今回,有核細胞数と細胞比率の同時測定法について,フローサイトメーターを用いて確立することを目的とし検討を行った。
方法:イヌの骨髄細胞はビーグル犬(Marshall)の胸骨から得た。測定は,以下の(1)と(2)の2つの測定系を組み合わせる方法にて実施した:(1)Canine CD5-FITC(T細胞),canine anti-B-cell-PE(B細胞),DNA蛍光染色試薬DRAQ5(有核細胞)およびFlow Count(内部標準)を用いる有核細胞数測定とリンパ球比率の測定系,および(2)ペルオキシダーゼ活性蛍光染色試薬2’,7’-dichlorofluorescinを用いる顆粒球細胞比率とその他の細胞比率(赤芽球系+リンパ球系比率)の測定系。
結果:有核細胞集団はDRAQ5染色により区分が可能であり,内部標準を用いて有核細胞数を算出することができた。本法による有核細胞数は,従来の方法(電気抵抗法:シスメックスF-820)による値と同等であった。また,異なる有核細胞数の試料を用いて,有核細胞測定の直線性も確認できた。本法による顆粒球系細胞比率,赤芽球系細胞比率(リンパ比率を用いて補正),リンパ球比率(T細胞とB細胞)および顆粒球細胞・赤芽球比(ME比)は,顕微鏡観察による分類の結果と一致した。また,本法による有核細胞数および細胞比率のCV値に問題はみられなかった。
結論:以上の成績より,フローサイトメーターを用いることでイヌ骨髄細胞の有核細胞数と主要な細胞系比率(顆粒球系,赤芽球系およびリンパ球系比率)の同時測定が可能であることが示された。

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© 2007 日本毒性学会
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