日本トキシコロジー学会学術年会
第34回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-155
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農薬・金属・工業化学品・自然毒ほか
線虫C. elegansを用いたジェネリック医薬品に関する品質評価の検討
*井口 綾子仁平 守俊平井 正巳有薗 幸司
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抄録

【研究目的】ジェネリック医薬品(以下、「後発品」と略す)とは、先発医薬品(以下、「先発品」と略す)と同じ有効成分で先発品よりも低価格な医薬品である。国民医療費の増大が懸念される中で、低価格の後発品供給を通じて国民負担の軽減に資することが期待されている。錠剤の後発品に関しては溶出試験等による同等性の評価基準があるが、注射剤に関しては散発的に出される研究結果に頼らざるを得ない状況にあり、試験法の早急な確立が望まれている。そこで本研究では、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの治療に繁用されているファモチジン注射剤について、先発品と後発品の品質評価を線虫C. elegansを用いた試験法で検討した。
【研究方法】実験には野生型のL1幼虫を用いた。各H2受容体拮抗剤ファモチジン注射剤は超純水に溶解し、試験物質とした。致死影響試験:曝露濃度を1.6 - 100 mg/Lとし、無給餌条件下、20℃で24時間曝露し、生存率を算出した。成長成熟影響試験:曝露濃度を0.16 - 10 mg/Lとし、給餌条件下、20℃で約60時間曝露を行い、体長の計測と体中央部に受精卵を有する個体の割合及び生涯産仔数を算出した。
【結果及び考察】各製剤ともに今回の曝露濃度における致死影響は見られなかった。成熟影響については、先発品Aにおいて0.16 - 2.5 mg/L 、後発品Bにおいて5 及び10 mg/Lの濃度区で成熟率の有意な減少が確認された。成長影響については、Aにおいて1.25、5及び10 mg/L 、Bにおいて0.16、0.32及び1.25 - 10 mg/Lの濃度区で体長の有意な減少が確認された。結果より、先発品、後発品の違いが確認されたことから、線虫C. elegansを用いた試験法による先発品、後発品の品質評価への応用の可能性が示唆された。

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© 2007 日本毒性学会
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