日本トキシコロジー学会学術年会
第34回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-169
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薬物代謝
ラット胎仔および新生仔肝薬物代謝酵素活性と化学物質の影響
*荒井 美幸杉原 数美北村 繁幸太田 茂
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抄録
【目的】胎児、新生児期の化学物質による生体影響が懸念されている。胎児期、新生期は薬物代謝酵素活性が低いという報告もあるが詳細についてはあまり知られていない。本研究ではラットを用い、胎仔および新生仔期における薬物代謝酵素の成長に伴う変動および化学物質暴露による影響について調べた。 【実験方法】Slc:Wistar/ST系ラットを用い、肝薬物代謝酵素cytochromeP450(CYP)活性として、alkyloxyresorufin-O-dealkylase活性およびalkyloxy-4-(trifluoromethyl)coumarin-O-dealkylaseを測定した。化学物質暴露は、生後1日齢のラットに phenobarbital(PB) 、dexamethasone(DEX)、3-methylcholanthrene(MC)、indirubin、DDTあるいはdibutylphthalate(DBP)を投与した。 【結果および考察】ラット胎仔、新生仔期の肝CYP活性を調べたところ、胎仔および生後5日目まではほとんど認められなかったが、成長に伴い活性が上昇し3週齢にはほぼ成体レベルに達した。CYPの誘導剤を生後1日齢で投与したところ、DEXでBFCD,MFCD、PBではPROD, BFCD、そしてMCでは全ての活性の誘導が認められた。さらに、DDTでは、BFCD, MFCDおよびPROD活性の著しい誘導が認められ、DBPによってもBFCDの誘導効果がみられた。また、in vitro試験で著しいAhR結合活性を示すindirubinはin vivoで弱いEROD 誘導活性しか示さないが、新生仔では強い誘導を示した。これは新生仔での代謝酵素活性が低いためと考えられる。以上より、ラット胎仔、新生仔のCYP活性は成長に伴い増加すること、また化学物質により著しく誘導されることを明らかとした。
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© 2007 日本毒性学会
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