日本トキシコロジー学会学術年会
第35回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-057
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調査研究
承認薬物(1999-2006年)における動物無毒性量と臨床用量の関係並びに薬物動態パラメーターの比較
*進藤 英俊五十嵐 浩子加藤 基浩石谷 雅樹麻生 良典
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抄録
最近の承認薬物(1999~2006年)を用い,動物の無毒性量におけるAUCと臨床用量におけるAUCの関係について調べ,過去の結果と比較した。医薬品医療機器総合機構ホームページに公開されている申請資料より,動物の無毒性量および臨床における用量,AUC,Cmaxを調べた。承認医薬品約300品目より,適応拡大,注射剤,生物製剤および抗がん剤(Cytotoxics)を除いた,約70の経口剤を対象とした。ラット,イヌ,および例数は少ないがサルについて,2~4週間あるいは13~52週間反復投与毒性試験における無毒性量と,臨床用量における用量を書き出した。AUCおよびCmaxは,トキシコキネティクスあるいはファーマコキネティクスデータより,用量の近いデータから線形性の範囲で比例計算により求め,臨床用量におけるパラメーターは健常人を用いたPhase I studyより求めた。各項目について,ラット/ヒト,イヌ/ヒト,サル/ヒト,イヌ/ラットの比を算出し,その分布を集計した。
全体にばらつきはみられるものの,1峰性の分布を示し,中央値の周辺にかなり広い分布を示した。無毒性量と臨床用量のAUC比較では,中央値はラット/ヒト,イヌ/ヒト比でそれぞれ約3~4倍および約10~15倍で,それぞれ1~30倍および3~100倍の範囲に全体の50~60%が分布した。また,比が1未満を示した薬物はそれぞれ約25~30%および約8~11%で,10倍以上を示した薬物は約30~45%,約50~55%であった。これらの結果は,ほぼ過去に調べられた結果(加藤ら,臨床薬理1996, 27(4): 759-769)と同様であった。ラットでAUC比が1以下を示した薬物では,抗菌剤および抗ウイルス剤がその41%(7/17)を占めたが,その他については特に傾向はみられなかった。
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© 2008 日本毒性学会
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