日本トキシコロジー学会学術年会
第35回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-103
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毒性試験
グルコン酸銅摂取によるラット肝酸化的ストレスの誘発と抗酸化物質併用投与による複合影響の検討
*岡村 俊也石井 雄二井上 知紀田崎 雅子広瀬 雅雄梅村 隆志西川 秋佳
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抄録
【目的】食品中の銅含有化合物の過剰摂取はラット肝に銅の蓄積を惹起し、肝障害を誘発することが報告され、また、遺伝的に肝臓に銅を蓄積するLECラットでは酸化的ストレスを生じることが知られている。今回、グルコン酸銅(CuGL)をラットに投与し、銅蓄積による酸化的ストレス誘発の有無を検討した。更に、in vitroにおいて銅イオンを触媒とした活性酸素生成系を有するフェノール系抗酸化物質を併用投与し、in vivoにおける複合影響を検討した。【方法】実験1:6週齢の雄F344ラットにCuGLを0.6%混餌、カテコールあるいはタンニン酸をそれぞれ0.1、0.5%飲水で13週間投与し、血清生化学的ならびに病理組織学的検査、血清及び肝組織中銅濃度、肝臓の脂質過酸化(TBARS)レベルを測定した。実験2:実験1と同様にCuGLをラットに2週間投与後、カテコール又は没食子酸プロピルを150、2000 mg/kgの用量で単回強制経口投与し、投与0、2、6、12及び24時間後の肝臓のTBARSレベルを測定した。【結果】実験1:CuGL投与により肝組織中銅濃度の高値が認められた。また、血清中の肝毒性マーカーが上昇し、組織学的にも肝細胞の変性、壊死が散見された。しかし、併用投与による肝毒性の増強効果は認められなかった。また、CuGL単独群と比べ、カテコール併用群でTBARSの有意な高値がみられたがその変動は僅かであった。実験2: CuGL投与によりTBARSの有意な高値が認められたが、併用投与の影響は観察されなかった。【考察】CuGL投与により銅蓄積に起因すると考えられる肝毒性ならびにTBARSの上昇が認められた。しかし、何れの抗酸化物質の投与もそれらに影響を与えなかった。本実験ではin vitroで報告されている遷移金属を触媒とした抗酸化物質による酸化的ストレスはin vivoで明らかとはならなかった。
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© 2008 日本毒性学会
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