日本トキシコロジー学会学術年会
第35回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-146
会議情報
オミクス・インフォマティクス
ヒト正常骨髄細胞におけるベンゼン及びX線曝露マーカーの探索
*佐々木 克典西田 義規大川 克也中山 亜紀米田 稔森澤 眞輔
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
毒性の発現は、多くの遺伝子の相互作用の結果生じる。タンパク質発現プロファイルは、遺伝子発現の変動を包括的にとらえることができるため、ある毒性に特異的なバイオマーカーを見出すのに有効である。
本研究は、ともに白血病を誘発することで知られるベンゼンおよび放射線を用いてその曝露マーカータンパクを探索することを目的とし、ヒト正常骨髄由来CD34+細胞のタンパク質プロファイルの解析を行った。
ヒト正常骨髄由来CD34+細胞には、それぞれベンゼン代謝生成物であるハイドロキノン、カテコール、およびその混合物とX線を曝露し、そのタンパク質発現パターンを二次元電気泳動法により解析した。ハイドロキノン及びカテコールの曝露濃度は6microMとし、混合物に関してはハイドロキノン2microMとカテコール4microMの複合曝露とした。曝露時間は細胞周期を考慮して30時間に設定した。また、X線に関しては0Gy, 0,5Gy, 1.0Gy, 1.5Gyの4条件で照射を行い、その後30時間の回復培養を行った。
発現解析の結果、ハイドロキノン曝露により特異的に発現量の変化するスポットが7個、カテコール曝露により特異的に変化したスポットが4個、混合物曝露に特異的に変化したスポットが2個検出された。X線に関しては、14個のスポットについて発現量の変化が確認された。ベンゼン代謝生成物を曝露したものとX線を照射したものとを比較したところ、共通して発現量が変化するスポットが2個確認され、これらは白血病のマーカーとして有用である可能性も考えられる。現在、MALDI-TOF/MS法を用いてこれらのタンパク質スポットを同定中である。
著者関連情報
© 2008 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top