日本トキシコロジー学会学術年会
第35回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-168
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毒性試験法 II
High Contents Analysisの手法を用いたリン脂質症スクリーニング法の確立
*橋本 まき出口 二郎大石 英俊船橋 斉関 高樹
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抄録
 目的:リン脂質症(phospholipidosis、以下PLと略)は創薬過程にしばしば遭遇し、回避すべき毒性の一つと考えられる。このPLスクリーニングに関しては各種の検出法が開発されているが、中でもNile Red等のリン脂質標識プローブを用いた検出法(従来法)は特殊な機器が不要で安価に行えることから、汎用される検出法の一つとなっている。しかしながら従来法は検出感度が悪く、ポテンシャルの弱い化合物の検出や、化合物間での作用比較等には不向きである等の問題点が指摘される。これら問題点を解決するため、我々はHigh Contents Analysisの手法(HCA法)を用いてPLスクリーニング法の確立を試み、従来法との比較検討を行ったので報告する。
 方法:HCA法は、HepG2細胞を用いてin vivo又はin vitroにおいてPL誘発作用が既知である6化合物(Amiodarone, Imipramine, Quinidine, Chloroquine, Procaine, Erythromycin)を細胞毒性の認めない濃度でマイクロプレート内にて処理・培養し、HCS Lipid Tox(invitrogen)で染色を行った。その後In Cell Analyzer 1000(GE Healthcare)にて画像を取得し、Granularity(GE Healthcare)にて解析を行った。一方、従来法については化合物処理後の細胞をNile Red染色し、蛍光強度をプレートリーダ(Tecan XFLUOR4)にて測定した。
 結果・考察:PL誘発が既知な上記6化合物に関しては、HCA法と従来法のいずれにおいてもPL誘発ポテンシャルを検出することができた。一方両者の比較では、検出感度や反応性、再現性共にHCA法が従来法を明らかに上回る結果が得られた。これら結果から、HCA法を用いることで感度よくPL誘発能を検出することが出来る他、化合物間でのPL誘発能比較も容易となり、よりポテンシャルの低い化合物を選択する上でも有用な手法であると考えられた。
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© 2008 日本毒性学会
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