日本トキシコロジー学会学術年会
第35回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: O-32
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5.循環器毒性
カニクイザルにおけるホルター心電図検査の有用性 ―拘束式心電図検査との比較―
*和田 聰中瀬 雅彦熊野 篤比毛 則夫倉田 祥正橋本 敬太郎大竹 誠司
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抄録
目的: 安全性試験におけるサルの心電図検査は,動物を保定して行う方法が一般的であるが,拘束ストレスに伴う心拍数上昇や短時間の記録しか出来ないという制約がある.そこで,ホルター心電図検査が有用と考えられることから,保定式検査とホルター検査を比較検討した. 方法: カニクイザル4匹にdl-sotalol(3,10 mg/kg),moxifloxacin(60,200 mg/kg)を単回経口投与し,心電図検査を行った.保定式検査は投与前,投与後1,2,4,(8),24時間に,ホルター検査は投与前24時間から投与後24時間までの連続記録を行った.投与及び心電図検査を1週間の休薬期間を設けて行い,投与後の心拍数,QTc (Bazzet)を算出した.また,ホルター検査については,short time variability (STV)及び long time variability (LTV)を連続する30心拍のQT間隔から算出した. 結果: 保定式検査とホルター検査いずれでも,dl-sotalol及びmoxifloxacin投与による用量依存性のQtc延長が確認された.QTc延長率はdl-sotalol投与では両検査で20%,moxifloxacin投与では保定式検査で9%,ホルター検査で15%であった.また,dl-sotalol投与でSTV及びLTVの顕著な増大が確認された.moxifloxacin投与後のQTc 延長,STV及びLTV増大のピークは投与後約12~16時間であった. 結論: ホルター心電図検査により,カニクイザルにおけるmoxifloxacin投与によるQTc 延長を高感度に検出することが出来た.また,夜間の心電図の変化を容易に検出可能であり,Torsades de pointesが発生する前に増大すると考えられているSTV及びLTV増大も確認可能であり,ホルター心電図検査の有用性が確認された.
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© 2008 日本毒性学会
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