日本トキシコロジー学会学術年会
第36回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: W1-3
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毒性試験・評価の質の向上にかかわる教育:Seeds and Needs of Toxicologists for Pharmaceuticals
毒性研究者養成への日本トキシコロジー学会の取り組みと将来
*杉本 哲朗
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キーワード: 教育, トキシコロジスト
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抄録

トキシコロジーは、化学物質、環境汚染物質、食品・水・土壌に含まれる物質などによる有害作用を研究する分野であり、主にヒトへの安全な曝露レベルを予測する科学的な論理構築が求められる。トキシコロジーに関わる毒性研究者の“目指す姿”は、自身の研究の場によって様々であろう。たとえば、医薬品企業に属する産の研究者であっても、創薬早期では不確実性が小さくなるようにアッセイ系の研究に注力するし、開発段階が進んでいくと情報・データの積み上げの過程で毒性を見極めていく総合的な評価が必要とされたり、動物種差のための試験企画やメカニズム研究をしたり、といったように毒性研究者の姿は違ってくる。学会では、医薬品や農薬、食品添加物、環境汚染物質等の安全性試験の実施やその結果の評価に関わる、レベルの高いトキシコロジストの育成は重要な課題と捉えている。毒性学について幅広い知識を有するとともに、特定の分野における研究経験と深い知識を有し、その知識を常にup to dateしているトキシコロジストを育成・確保するため、学会教育委員会では、基礎教育講習会、生涯教育講習会、トキシコロジスト認定試験の3つの小委員会を設け活動している。また、学会機関紙やHPには、各種の教育機会を案内している。総合的安全性評価者育成を目的とした「応用トキシコロジーリカレント講座」が千葉大学により2007年から開始されている。IUTOXによって開催される「Risk Assessment Summer School」は、異なるバックグランドの各参加者が化合物や農薬についてリスクアセスメントレポートを持ち寄って議論する企画があり、“気づき”を持てるグローバルな研修機会となっている。学会が毒性研究者養成のプラットフォームとして、教育の場の設定(教材の有効活用を含む)及び自己研鑽する機会となる情報の提供についてさらに充実するよう検討していく。

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© 2009 日本毒性学会
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