日本トキシコロジー学会学術年会
第36回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-32
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臓器毒性,代謝,毒性試験法等
beta1アドレナリン受容体を介したウサギ胎児における大動脈弓形態異常について
*坂井 祐子岡田 晃宜廣田 里香松尾 成喜伊藤 伸藤原 道夫
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抄録
【緒言】本研究では,心拍数増加作用を有するbetaアドレナリン受容体作動薬であるisoproterenol(ISO)を用いて,ウサギ胎児への影響について検討した。また,選択的beta1アドレナリン受容体遮断薬であるmetoprolol(MET)の同時投与による心拍数増加抑制の影響について検討した。【方法】ニュージーランドホワイト種ウサギにISOの3から100mg/kg/dayを経口投与し,妊娠29日に帝王切開して胎児の形態検査(外表・内臓)を実施した。初回及び最終投与時には,血漿中ISO濃度及び母体心拍数を経時的に測定した。次に,ISOの50mg/kg/dayに加えてMETを同時投与し,母体心拍測定と胎児の形態検査(外表・内臓)を実施した。【結果】血漿中ISO濃度及び母体心拍数は投与量依存的に増加し,胎児の形態検査では大動脈弓拡張の発現頻度が増加した。MET同時投与によりISOによる母体の心拍数増加は抑制され,同時に胎児の大動脈弓拡張の発現頻度も低下した。【結論】本研究により,beta受容体作働薬によるウサギ胎児の大動脈弓拡張作用が確認された。本作用は,選択的beta1遮断薬の同時投与により抑制されたことから,化合物自体が有する催奇形性によるものではなく,心拍数増加と関連した二次的な機能的変化である可能性が示唆された。今後,胎児心拍数との関連性についても検討を加える予定である。
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© 2009 日本毒性学会
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