日本トキシコロジー学会学術年会
第36回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-57
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臓器毒性,代謝,毒性試験法等
dGSHトラップ法を用いた反応性代謝物の定量的評価および考察
*小林 雅典加藤 杏子杉山 明男
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抄録

薬剤性肝障害は,動物実験で検出可能な場合と特定の少数患者層で起こる予測困難な特異体質性肝障害に大別されるが,いずれの場合にも薬物代謝による反応性代謝物(Reactive Metabolite: RM)の生成が関与することが示唆されている. RM生成ポテンシャルの評価系の1つに,肝ミクロゾームを用いたin vitro代謝反応によるGSHトラップ法がある.さらに,GSHをdansyl chlorideで蛍光ラベル化したダンシルグルタチオン(dGSH)を用い,RM生成を定量的に評価する方法が知られている. 我々は,dGSHトラップ法を一部改良し,肝障害性が報告されている25化合物および肝障害性の報告がない10化合物についてdGSH付加体の定量的評価を行い,RM生成量と肝障害性の程度との関係について考察した. dGSHトラップ法での肝障害性に関する検出力,特異性および一致率は,いずれも80 %であり,RM生成に関する有用なin vitro評価系と考えられた.また,dGSH付加体の生成量に1日の最大臨床投与量を掛けた値と肝障害性の程度との関係について考察したところ,その定量値が大きくなるほど肝障害性の程度が強くなる傾向にあった. 以上の結果から,dGSHトラップ法を用いたRM生成に関する定量的評価は,開発初期における医薬候補品の肝障害性リスク低減を目的とした評価系として有用であると考えられた.

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© 2009 日本毒性学会
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