日本トキシコロジー学会学術年会
第36回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-56
会議情報

臓器毒性,代謝,毒性試験法等
イヌ非凍結初代肝細胞を用いた酵素誘導能の評価
*村田 宏行二宮 憲子出口 細香河野 牧子谷口 寿生小村 弘小粥 基弘
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

[目的] 前臨床において,イヌは非げっ歯類の薬物動態,薬効及び毒性評価動物として広く使用されている。しかし肝細胞を用いたin vitro評価において,イヌの凍結肝細胞は入手できるものの凍結による機能低下により評価が制限され,非凍結で入手できるラットに比べ報告が少ない。ラットと同様,イヌ非凍結肝細胞が利用できれば,種々の薬物動態,薬効及び毒性評価を可能とし,その有用性は高いと思われる。例えば毒性試験時の血漿中濃度の低下など,in vivoにおいて酵素誘導が示唆された場合,イヌ非凍結肝細胞はその原因を検討する上で有用なツールとなる。そこで今回我々は,イヌ非凍結初代肝細胞を用いて代表的な酵素誘導剤の誘導能を評価し,その有用性について検討した。
[方法] イヌ初代肝細胞は株式会社ナルクにて24wellプレートに播種したものを購入した。代謝酵素誘導剤β-naphthoflavone (β-NF), rifampicin (RP), phenobarbital (PB),phenytoin (PT), ritonavir (RV), pregnenolone 16α-carbonitrile (PCN)を24時間毎に添加し,48時間刺激を加えた後,phenacetin及びmidazolamを用い,CYP1A及びCYP3Aの酵素活性を評価した。また同じ細胞からmRNAを抽出し遺伝子発現量を測定した。
[結果] phenacetin O-deethylase活性及びCYP1A2 mRNA発現量はPB及びβ-NFにより上昇し,CYP1Aの誘導が確認された。またmidazolam 1’-hydroxylase活性及びCYP3A26 mRNA発現量はPB及びPHEにより上昇し,CYP3Aの誘導が確認された。その他の代謝酵素の結果も合わせて報告する。

著者関連情報
© 2009 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top