日本トキシコロジー学会学術年会
第36回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-61
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優秀研究発表賞応募演題
パスウェイ情報を用いたトキシコゲノミクスデータの網羅的な比較と可視化の検討
*五十嵐 芳暢箕輪 洋介奥野 恭史中津 則之小野 敦山田 弘大野 泰雄漆谷 徹郎
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抄録

【目的】トキシコゲノミクス・インフォマティクスプロジェクトにおいてSVM等の判別器と病理所見を用いた遺伝子発現プロファイルの分類によって毒性マーカー遺伝子が同定されつつある。これらマーカー遺伝子のパスウェイ等のコンテキストを調べるため、大規模トキシコゲノミクスデータベースを使用して、網羅的な解析を検討した。 【方法】各サンプルを表現型ではなく実験条件によって分類、比較した。実験条件で分類することで、例えば、投与量と投与時間を固定して化合物を変えることによって、遺伝子発現の変化の原因を化合物の違いに絞ることができる。さらに、遺伝子単位ではなくパスウェイ単位で比較し、有意差を計算することで毒性の特異性とは関係のない遺伝子の影響を減らすことができる。例えば、高投与量と低投与量のサンプルを比較した場合、 タンパク合成系の遺伝子の多くに発現変動が観察されるが、パスウェイ単位で比較することでその数の重みは軽減される。パスウェイの有意差の算出にはGSEA法を用いた。GSEA法では、遺伝子の発現差によるランキングとSN比を用いて、2つのサンプル間の特定の遺伝子セット(パスウェイ)の有意差を算出する。また、これらの遺伝子セットのプロファイルに基づいたサンプル間の関係の可視化についても検討した。 【結果】上記方法によっていくつかの毒性マーカー候補が有意差のある遺伝子セット上に観察され、そのコンテキストを推測することができた。

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© 2009 日本毒性学会
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