日本トキシコロジー学会学術年会
第36回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-152
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医薬品,新規化学物質と,オミクス等の安全性評価
カニクイザルを用いた中枢神経系および一般身体状態への薬物作用評価法
*落合 陽介廣安 誠後藤 則夫熊野 篤佐久間 善仁山下 保志飯塚 宏美
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抄録
【目的】近年,医薬品開発において高分子医薬品の開発が意欲的に進められている.特に抗体医薬品などは,これまでの低分子医薬品の開発とは異なり,その特異性から十分な反応性を有する適切な動物種を用いることが極めて重要であると云われている.安全性評価試験ではサルなどのヒトにより近い動物種を用いることが望まれているが,安全性薬理試験において,サルの中枢神経機能を含む一般身体徴候への影響を評価した報告は多くない.そこで我々は先ず手始めとして低分子医薬品を用いてカニクイザルの中枢神経機能を含む一般身体徴候へ及ぼす影響を評価する方法を検討した. 【方法】雄性のカニクイザル(Macaca fascicularis)にクロルプロマジン(CPZ,16 mg/kg)およびジアゼパム(DZP,4 mg/kg)を単回経口投与し,Functional Observational Batteryに準拠した方法に従い観察を行った.投与前ならびに投与後1,4および24時間に,動物の外観,精神状態,体温,反射および歩行などの各項目について観察し評価した. 【結果】CPZを投与した動物では覚醒度,自発運動量および体温の低下,傾眠を評価することができたが,筋緊張の低下,歩行異常などは観察されなかった.DZPを投与した動物では,覚醒度および自発運動量の低下,筋緊張の低下による歩行異常(よろめき歩行)が評価可能であった. 【考察】今回の評価法では,CPZおよびDZPの薬物作用を反映した結果が得られたと考えられる.従って,本方法を用いてカニクイザルの中枢神経機能を含む一般身体状態への薬物の影響を評価することが可能であると考えられた.
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© 2009 日本毒性学会
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