日本トキシコロジー学会学術年会
第36回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-153
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医薬品,新規化学物質と,オミクス等の安全性評価
グルココルチコイドレセプター(GR)遺伝子多型とストレス感受性 -マウスでの検討ー
*富田 正文奥山 敏子渡辺 洋子日高 和夫勝山 博信
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抄録
ストレス条件下では視床下部-下垂体-副腎系が活性化され、グルココルチコイドが副腎皮質から放出されて抗ストレス作用を発現する。グルココルチコイドは細胞内でグルココルチコイドレセプター(GR)と結合し,遺伝子の転写制御を行う。ヒトでのGRには遺伝子多型の存在が知られており,ストレス感受性との関連が報告されている。今回われわれは,マウスにみられるGR遺伝子多型とストレス性の胃内出血及び血中ストレスホルモンに関連があるか否かについて検討した。
【材料と方法】雌雄マウスを自家繁殖してそれぞれGR遺伝子多型でグループ分けした。1日絶食させた後,水浸拘束ストレス(WRS)をかけ,一定時間後に安楽死させた。ストレスホルモンとして,グルココルチコイドおよびACTHの血中レベルを測定するとともに,胃粘膜を4%ホルマリンで15分間固定して胃内の出血状態をulcer indexとして数値化した。
【結果と考察】マウスのGR遺伝子多型はCAGの繰り返し数によって判定できる。ICRマウスの場合,繰り返し数n=8とn=16が存在した。市販のICRマウス(雄68匹,雌42匹)についてみると雄ではn=8 (GR8)の遺伝子頻度は77.9%, n=16 (GR16)のそれは22.1%,雌ではGR8が79.8%, GR16が20.2%であり,雌雄差は認められなかった。WRS後の胃内肉眼的観察ではWRS 1 hrからすでに出血が認められ,雄に感受性が高いように思われたが,GR遺伝子多型との関連については不明であった。つぎにulcer indexで比較すると,雌雄差が認められ,雌の感受性が雄より小であることが分かった。これは多分女性ホルモンの影響によるものであろう。さらに, WRS 6 hrでの雄のストレス感受性について,個体差はあるが,ulcer indexとGR遺伝子多型との関連が示唆された。ストレスホルモンについては,さらに検討中である。
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© 2009 日本毒性学会
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