日本トキシコロジー学会学術年会
第37回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P58
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一般演題 ポスター
皮脂の酸化修飾物がヒト皮膚細胞に与える影響
*内野 正仲川 清隆五十嵐 良明西村 哲治宮澤 陽夫
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抄録

目的:ヒト皮膚は紫外線等の酸化ストレスに常に曝されており,皮脂のスクアレン(SQ)は太陽光暴露により酸化修飾を受けスクアレ ンモノハイドロペルオキシド(SQOOH)を生じることが報告されている。我々は太陽光暴露により6種類のSQOOH異性体が生成する ことを既に報告したが,各異性体がヒト皮膚細胞に及ぼす影響は明らかでない。そこで3次元培養ヒト皮膚モデルを用いて各異性体単 独あるいはそれらの混合物の細胞毒性及びサイトカイン産生能を検討した。
実験:SQOOHの6種類の異性体(2-OOH-SQ, 3-OOH-SQ, 6-OOH-SQ, 7-OOH-SQ,10-OOH-SQ, 11-OOH-SQ)及びそれらの混合 物(m-SQOOH)をVitro-life Skinに24時間暴露し,細胞毒性をテトラカラーワンで評価し,培地中のIL-1αをELISAで定量した。
結果・考察:m-SQOOHは20 mMまでは細胞毒性は認められなかった。2-OOH-SQは5 mMで細胞生存率が有意に減少した。 2-OOH-SQはm-SQOOHよりも低濃度でIL-1αの産生を有意に増加させた。SQOOHは酸化修飾部位の違いにより細胞毒性及びIL-1 αの産生能が異なり,各SQOOH異性体のヒト皮膚中の存在量や他のサイトカイン産生能への影響等,今後更なる検討が必要と思われ た。

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© 2010 日本毒性学会
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