日本トキシコロジー学会学術年会
第37回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P129
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一般演題 ポスター
カニクイザルにおける臨床病理検査パラメーターの生産施設による違い(第2報)
*小田部 耕二平澤 由貴坂本 憲吾倉田 昌明山中 久椎名 隆太田 正穂野村 護
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抄録
【目的】我々は昨年の学会でフィリピン(PHL),インドネシア(IDN),ベトナム(VNM)の3カ国の生産施設で繁殖されたカニクイザルの 臨床検査値を比較し,その特徴を報告した。今回,カンボジア由来とされている中国(CHN)の生産施設のデータを加えて,4カ国の生 産施設で繁殖されたカニクイザルの臨床検査値について産地差特性を調べると共に,ミトコンドリアDNA(mtDNA)の分子系統樹を作 成し,これら生産施設間の系統関係を明らかにした。【方法】PHL,IDN,VNM及びCHNで生産されたカニクイザルから血液を得て, 血液学的検査値(RBC, Hg, Ht, MCV, MCH, MCHC, PLT, WBC, W-Diff, Ret, PT, APTT),血液生化学的検査値(AST, ALT, ALP, LD, Glu, BIL, UN, Cre, Chol, TG, PL, IP, Ca, TP, Alb, A/G, Na, K, Cl, 蛋白分画)及びリンパ球サブセット(T cells, CD4, CD8, B cells, NK cells)を計測すると共に,白血球より抽出したmtDNAを用いて,そのD-loop領域(約600塩基)のPCR増幅,塩基配列決 定により分子系統樹を作成し,生産施設別に比較した。【結果】VNM産とCHN産は赤血球性状特性に類似した特徴がみられ,PHL産と IDN産に比べて赤血球数が低く,赤血球恒数と網赤血球数及び比率に高い傾向がみられた。従って,VNM産とCHN産は近い系統関係 にある可能性が示唆された。一方, mtDNAの分子系統樹により,VNM産とCHN産は混在するが,PHL産やIDN産とは明らかに異なる 系統関係が示唆された。これらの結果は生息地域間の生物学的差異を支持するものであった。
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© 2010 日本毒性学会
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