日本トキシコロジー学会学術年会
第38回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-59
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一般演題 ポスター
2-エトキシ-2-メチルプロパンのラットを用いた中期多臓器発がん性試験
*今井 則夫萩原 昭裕土井 悠子河部 真弓古川 文夫玉野 静光長野 嘉介福島 昭治
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抄録
【目的】地球温暖化対策として2-エトキシ-2-メチルプロパン (エチルターシャリーブチルエーテル、ETBE)の本格的なガソリンへの添加にあたり、ETBEの安全性評価の一環として、ラットを用いた中期多臓器発がん性試験を実施した。 【方法】F344系雄ラットにDMBDDイニシエーション処置を施した後、ETBEを体重kg当り0(対照)、300及び1000 mgの用量で23週間連日強制経口投与し、全身諸器官に対する発がん修飾作用の有無を検討した。 【結果】胃では、限局性扁平上皮過形成と乳頭腫を併せた発生頻度が300および1000 mg群で有意な高値を示した。結腸では、腺癌の平均発生個数および腺腫と腺癌を併せた平均発生個数が1000 mg群で有意な高値を示した。肝臓では、GST-P陽性細胞巣の単位面積当たりの個数および面積が1000 mg群で有意な高値を示した。また、肝細胞腺腫の発生頻度が、1000 mg群で有意な高値を示した。腎臓では、尿細管異型過形成の平均発生個数が、1000 mg群で有意な高値を示した。膀胱では、乳頭腫症の発生頻度が、1000 mg群で有意な高値を示した。なお、乳頭腫症は非イニシエーションの1000 mg群においても少数例に観察された。甲状腺の濾胞細胞過形成および濾胞細胞腺腫の発生頻度および平均発生個数は1000 mg群で有意な高値を示した。 【結論】非遺伝毒性物質であるETBEは、前胃及び甲状腺に対しては300 mg/kg/day以上の用量で、また、結腸、肝臓、腎臓および膀胱に対しては1000 mg/kg/dayの用量で発がんプロモーション作用を示すことが判明した。さらに、これらの発がんプロモーション作用のヒトへの外挿について考察する。 本研究は、財団法人石油産業活性化センターが石油連盟から委託された「ETBEの発がん性に係る調査」事業の一環として実施されたものである。
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© 2011 日本毒性学会
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