日本トキシコロジー学会学術年会
第38回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-98
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一般演題 ポスター
カニクイザルにおける心臓超音波検査法による左室収縮能と拡張能の評価
*中根 史行石山 芳則門田 利人秋江 靖樹
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抄録
【目的】超音波診断装置を利用して心機能評価する際に用いられているMモード法及びパルスドプラ法は,心筋の壁運動を詳細に観察することができ,心臓の収縮能および拡張能の定量化に非常に有用であるとされている.そこで今回,カニクイザルにおける心機能を評価する目的で,心機能抑制物質を投与し,経時的に心臓超音波検査を実施して左室収縮能と拡張能を評価した. 【材料および方法】カニクイザル(雄,3~6歳)4匹に心機能抑制物質30 mg/kgを経口投与し,超音波診断装置(アロカ株式会社 SSD-α5)を用いてメデトミジン鎮静下(20μg/kg,im)で投与前,投与後30,60,90,120分(計5時点)に心機能パラメータの計測を行った.収縮能の指標としてMモード法による左室駆出率(EF),左室内径短縮率(FS),拡張能の指標としてパルスドプラ法による左室急速流入速度(E波),心房収縮期流入血流速度(A波),E/A,半減圧時間(PHT)及びE波減速時間(DecT)を計測した.さらに心拍数(HR),一回拍出量(SV)及び心拍出量(CO)も計測した. 【結果】心機能抑制物質の投与により,全例において収縮能の指標となるEF,FS,HR,SV,CO値に有意な低下が認められた.一方,拡張能の指標とされているE波,A波 E/A及びDecT値は低下傾向を示したが,有意な差は認められなかった. 【結論】以上により,超音波診断装置を利用することでカニクイザルの心臓の形体を定量的に測定することが可能であり,心機能を評価する上で有用な情報が得られると考えられた.
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© 2011 日本毒性学会
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