日本トキシコロジー学会学術年会
第38回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-106
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一般演題 ポスター
幼若犬の心電図測定値について
*堀 寿子石井 俊也阿部 一梅田 明広鈴木 大己渡辺 大石川 勉
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キーワード: 幼若犬, 心電図
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抄録

【目的】イヌにおける毒性試験では、通常、動物は生後6箇月齢以降で試験に用いられるが、近年は、生後3週齢程度の幼若動物を用いる評価も数多く行われるようになってきた。しかしながら、毒性試験の現場では成犬に比べて幼若犬の背景値が不足しているのが現状であり、一方では、複数の測定項目において成犬との相違が問題となることを経験している。そこで、我々は幼若犬の背景値検討の一環として、当研究所にて実施した幼若ビーグルを用いた毒性試験における心電図測定値(対照群値)を集計し、成犬のそれとの比較検討を行った。【材料及び方法】2006年から2010年の5年間に実施した毒性試験において、対照群として使用した生後3箇月齢以内の雌雄ビーグル犬を対象とした。心電計はフクダエム・イー工業(株)のLABO-SYSTEM ZM-5012を用い、無麻酔下、標準肢誘導にて心電図波形を記録した。解析項目としては、毒性試験で標準的な13項目[心拍数、QRS間隔、PR間隔、QT間隔、電気軸、平均RR間隔及び電位(ST1、ST2、P波、Q波、R波、S波及びT波)]に加え、各種補正式(Bazett、Matsunaga、Fridericia及びVan de Water)により算出したQTc値について月齢ごとの平均値±SDを集計し、成犬(生後6箇月齢)の背景値を対照として比較検定を行った。【結果】成犬に比して幼若犬の心拍数は生後高値を示したが、成長に従って成犬値に近づいた。また、これに伴って各波形の間隔も成犬値に近づいた。QTc値については、成犬において一般に知られているように、Bazettの補正値に比して他の補正値の変動が小さかった。【まとめ】今回の調査によって得られた成績は、幼若犬を用いる毒性試験の心電図評価において、有用な情報を提供するものと考えられる。

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© 2011 日本毒性学会
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