日本トキシコロジー学会学術年会
第38回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-154
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一般演題 ポスター
インシリコ(コンピュータ)による毒性予測の問題と解決に向けた提案
*湯田 浩太郎
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抄録
最近になり、化合物の安全性の重要性が創薬、化合物デザイン、環境等の様々な分野で高まりつつある。また、研究対象となる化合物数や種類も急速に増大し、従来から実施されてきたWET実験による安全性評価とは別にインシリコ(コンピュータ)による安全性評価がWET実験効率向上の支援技術としてその重要性を増している。  インシリコによる安全性予測は薬理活性や物性等と異なり、高い予測値の達成や信頼性の高い要因解析を行うことが難しい。この原因として、毒性発現のメカニズムが極めて複雑であり、さらに予測対象とする化合物の種類や構造が極めて多岐にわたることである。  前記理由から、薬理活性や物性予測で適用されているQSARやドッキング等を安全性評価に利用することは出来ない。この安全性評価分野でも実施可能な技術として「化学多変量解析/パターン認識(ケモメトリックス)」がある。適用当初(約20年ほど前)はその予測値と実測値との差が大きく、安定性を欠き、研究現場でのニーズを満たすレベルには程遠かった。しかし、現在はコンピュータ計算パワーは急激に向上し、化合物を扱うケモメトリックス研究も大きく進歩し、さらには予測を行うデータ解析手法も昔とは比較にならないほど強力な手法が開発され、インシリコ安全性予測を実施する環境も昔とは大きく変化した。また、現在のインシリコ安全性予測に求められるのは、WET実験結果との比較ではなく、WET実験を最適化するための支援技術としての役割へと大きく変化している。  本ポスターでは、湯田が安全性予測手法として開発した極めて強力な(サンプル数やサンプル分布にかかわらず常に100%分類達成)データ解析手法(KY法)について、その概要を発表し、さらにKY法をAmes試験データについて適用した事例も発表する。
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© 2011 日本毒性学会
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