抄録
近年,薬物や化学物質の安全性評価において,内分泌器官に対する影響の有無を評価しておくことが一般的になってきている。その評価項目の一つとして血中ホルモン濃度がある。反復投与毒性試験等において,血中ホルモン濃度の変化を評価するためには,動物のホルモン濃度変動を事前に把握しておく必要があり,我々はこれまで各種ホルモンの背景データを採集してきた。
試験に用いられるカニクイザルは,原産国の環境や飼育条件により,各種検査データが異なることが知られている。今回,カニクイザルの産地の違いでホルモン濃度に差がある可能性も考えられることから,捕獲地(中国産及びベトナム産)に由来するカニクイザルから得られた血清中のホルモン(甲状腺関連ホルモン,ステロイド性ホルモン他)濃度を測定し,ホルモン濃度の動きについて比較検討した。