日本トキシコロジー学会学術年会
第38回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-196
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安全性薬理試験におけるグルコースクランプ法の有用性
*松原 史典岡田 一秀橋口 憲子濱田 敦子宮澤 英男都丸 明宏金納 明宏
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抄録
安全性薬理試験では,新規化合物の中枢神経系,心血管系,呼吸系への影響をヒトに投与する前に確認する重要な試験である.しかし,安全性薬理試験においてインスリンの分泌を促進させる化合物の評価では,化合物の薬理作用が低血糖を引き起こし,心血管系への影響をみる際,試験結果が化合物本来の有害作用であると判断するのに困難な場合がある.そこで我々は,安全性薬理フォローアップ試験として低血糖による影響を回避し,化合物本来の作用を評価するため,先に日本安全性薬理研究会で報告したグルコースクランプ法を用いて,さらにその有用性について検討を行った. 実験は無麻酔拘束下で実施し,テレメトリー送信機を埋め込んだ雄性ビーグル4例に,インスリン(Novolin R注100) 0,1,3,7.5 IU/bodyを皮下投与し,投与前から投与後6時間までテレメトリーデータ取得解析システムを用いて血圧,心拍数,心電図の測定を行なった.また,1時間毎に採血を行い,血液ガス測定装置を用いて血中電解質濃度,血中カテコールアミン濃度を測定した.グルコースクランプは,血糖値を約100 mg/dLに維持するため50%ブドウ糖注射液をシリンジポンプを用いて中心静脈内に投与量を調節しながら投与した. 結果としてグルコースクランプ法は様々な作用機序を持ったインスリン分泌を促進させる血糖降下薬の心血管系への影響を評価することができ,安全性薬理フォローアップ試験として有用な方法であることが明らかとなった.
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© 2011 日本毒性学会
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