抄録
医薬品は主として成人を対象として開発される場合が多く、小児においては多くの医薬品において適応が取得されていない現状である。このような医薬品を小児に適応するためには、小児における治験や幼若動物を用いた非臨床試験が実施され、小児に対する安全性を十分に確保するべきである。臨床試験に関しては2000年にICH-E11「小児集団における医薬品の臨床試験に関するガイダンス」が通知され、小児における治験が促進されている。非臨床試験に関しては,米国FDA(2006年)及びEMA(2008年)においてガイダンスが公表されており、さらにICH M3(R2)「医薬品の臨床試験及び製造販売承認申請のための非臨床安全性試験の実施についてのガイダンス」に「小児における臨床試験」の項に小児集団における臨床試験での安全性情報を得るための1つの手段として幼若動物を用いた毒性試験があげられている。一方、日本においては幼若動物を用いた毒性試験の実施方法のガイダンスは未整備であったが、2010年10月に厚生労働省、国立医薬品食品衛生研究所、医薬品医療機器総合機構を中心に幼若動物を用いた安全性試験ガイドラインの作成が開始された。
本演題では、この小児用医薬品のための「幼若動物を用いた非臨床安全性試験ガイダンス」の考え方について概説する。