日本トキシコロジー学会学術年会
第38回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: W6-2
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毒性質問箱「幼若動物試験およびヒト初回投与量Q&A」
First in Human試験における投与量設定
*竹藤 順子宮内 慎
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抄録
非臨床安全性試験の目的としては、毒性プロファイルを明らかにすることの他に、初めて実施される臨床試験での初回投与量(First Human Dose, FHD)設定への十分な安全性情報を提供することが挙げられる。しかし、in vivoあるいはin vitro毒性試験データから、ヒトでの安全で最適なFHDを設定するには未だに多くの課題がある。
FHDに関してICH M3 (R2)においては、薬理学的な用量反応性や、薬理学的/毒性学的プロファイル及び薬物動態を含む、関連する全ての非臨床データを考慮すべきとあり、一般的に最適な動物種で得られた非臨床安全性試験における無毒性量(NOAEL)が重要な情報となり得ると述べられている。これまでFHDの算出はNOAELから、動物とヒトで予想される種差に安全係数を鑑み算出するケースが多かったが、抗体医薬品のTGN1412事件を機に、MABEL(Minimal Anticipated Biological Effect Level)法などヒトでの予測有効用量を考慮したFHD設定法も広まってきた。すなわち、NOAELだけでなく、in vitro及びin vivo PK/PDや種差を示唆するデータなどの多様な情報を収集・駆使した理論構築が必要となってきた。FHDの設定についてはFDAやEMAのガイダンスがあるものの、実際に現場でどのようなデータを揃えてゆくか画一的に判断するには限界があり、ベネフィットリスクを鑑みながらケースバイケースで対応しているのが実情である。
安全性評価研究会では、ヒト初回投与量の設定について「毒性質問箱第3号」のQ&Aや、「毒性質問箱第12号」の特集で取り上げ議論を深めてきた。本セッションでは、こうした過去の議論を含め、現場の視点から各局のガイダンス等を整理し、問題点・課題を整理し議論したい。
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© 2011 日本毒性学会
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