日本毒性学会学術年会
第39回日本毒性学会学術年会
セッションID: O-5
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金属
MerCおよびSNAREを利用した水銀・カドミウムのファイトレメディエーション
*清野 正子曽根 有香中村 亮介坂部 貢芳生 秀光
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抄録
本研究は環境中に放出された重金属のファイトレメディエーションを目指す。細菌由来のMerCは水銀、カドミウムを細胞外から細胞内へ輸送するトランスポーターである。また、シロイヌナズナ由来のSNAREファミリーのSYP121は細胞膜に、AtVAM3は液胞膜にそれぞれ特異的に局在する膜タンパク質である。本研究では、MerCに膜輸送タグとしてSYP121またはAtVAM3を融合させたタンパク質(MerC-SYP121, MerC-AtVAM3)を発現させた遺伝子組換え植物を構築し、耐性と蓄積性を指標とした機能解析を行った。merC, merC-SYP121, merC-AtVAM3遺伝子は植物ベクターpMAT137に組換え、常法に従い植物に形質転換した。組換え植物を用いて、ゲノムPCRおよびRT-PCRにより目的遺伝子のゲノムへの組換えおよびmRNAの発現をそれぞれ確認した。植物体の水銀、カドミウムに対する耐性および蓄積性について検討した。水銀耐性について、merC組換え植物は野生株とほぼ同等、merC-SYP121, merC-AtVAM3組換え植物はそれらに比べ上昇した。カドミウム耐性について、merC, merC-AtVAM3組換え植物は野生株とほぼ同等、merC-SYP121組換え植物はそれらに比べ上昇した。水銀蓄積性について、merC-SYP121, merC-AtVAM3組換え植物は野生株に比べ、それぞれ有意に上昇した。カドミウム蓄積性について、merC-SYP121組換え植物は野生株に比べ有意に上昇した。以上の結果より、merC-SYP121組換え植物は水銀とカドミウムに対する耐性および高蓄積性をそれぞれ有しており、重金属の浄化に適していると考えられた。
Kiyono M., et al., Planta. (2012) 235(4):841-850
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© 2012 日本毒性学会
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