日本毒性学会学術年会
第39回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-161
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トリアゾール系抗真菌薬voriconazoleのマウスでの薬効減弱におけるpregnane X receptorおよびconstitutive androstane receptorの協調的役割
*大渕 雅人吉成 浩一金子 勇人松本 哲井上 晃子米良 綾子河村 章生碓井 孝志山添 康
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抄録
[目的]幅広い抗真菌スペクトラムを有するトリアゾール系抗真菌薬voriconazole(VRCZ)は、ヒトで良好な薬効を示す一方,マウスでは抗真菌作用をほとんど認めず,その薬理作用には種差が存在する。本研究ではこの種差の機序を明らかにするため、VRCZのマウスでの薬効減弱における核内受容体pregnane X receptor(PXR)およびconstitutive androstane receptor(CAR)の関与を,VRCZの体内動態の観点から解析した。
[方法]C57BL/6J,Pxr欠損(Pxr-null),Car欠損(Car-null)および両受容体欠損(Pxr/Car-null)マウスに,VRCZを30 mg/kgで7日間連続経口投与し,VRCZの血中濃度推移および肝薬物代謝酵素レベルを常法に従い測定した。
[結果]C57BL/6J,Pxr-nullおよびCar-nullマウスにおいて,血漿中VRCZ濃度は投与初日に比べ投与7日目では有為に減少した。これらのマウスでは,肝ミクロソーム中VRCZ代謝活性および肝Cyp3a11 mRNAレベルはVRCZの反復投与により増加し,自己誘導が認められた。一方Pxr/Car-nullマウスでは,反復投与によって血漿中VRCZ濃度はむしろ増加し,肝ミクロソーム中VRCZ代謝活性および肝Cyp3a11 mRNAレベルに増加は認められなかった。これらマウスの肝ミクロソーム中VRCZ代謝活性は,midazolam(CYP3A基質)代謝活性と有為な相関を示し,さらにketoconazole(CYP3A阻害薬)によりほぼ完全に阻害された。
[考察]マウスにおいて,VRCZは主にCYP3Aにより代謝されること、VRCZ投与によりCYP3A誘導(自己誘導)が起こること、そしてPXRとCARは協調的にVRCZによるCYP3A誘導に関与していることが明らかになった。すなわち、マウスにおけるVRCZの薬効の減弱は、PXRとCARを介したVRCZ自身によるCYP3A誘導が主な原因と考えられた。ヒトではVRCZによるCYP誘導は報告されておらず、PXRまたはCAR活性化作用の有無は、VRCZの薬理作用発現における重要な決定要因の一つと考えられる。
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© 2012 日本毒性学会
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