日本毒性学会学術年会
第39回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-206
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肝臓中グルタチオン量を反映する血漿中バイオマーカーの探索
*合田 圭佑山田 直人山崎 裕次小林 章男高橋 統一正田 俊之公納 秀幸菅井 象一郎
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抄録
【緒言】薬剤性肝障害の発現と肝臓中グルタチオン (GSH) 量の関連性は広く知られており,肝臓中GSH量を推定することができるバイオマーカー (BM) は,薬剤性肝障害に対する感受性を予測する上で有用性が高いと考えられる。しかし,肝臓中GSH量を高精度で推定可能なBMに関する報告は少ない。そこで我々は,肝臓中GSH量を反映する血漿中BMの探索を目的として,γ-glutamylcysteine synthetase阻害薬L-buthionine (S,R)-sulfoximine (BSO) によるラットGSH欠乏モデルを用いて検討を行った。血漿中BMは,GSH生合成に関連したアミノ酸等を選択して測定した。
【方法】一晩絶食した6週齢の雄性SDラットにBSOを0及び1000 mg/kgの用量で単回腹腔内投与し,投与後24時間まで経時的に血液及び肝臓を採取した。肝臓中総GSH量,血漿中のアミノ酸及び総GSH濃度をLC-MS/MSを用いて測定した。結果の解析は,肝臓中総GSH量を目的変数,血中BMを説明変数とする重回帰分析により行った。
【結果及び考察】BSO投与により,肝臓中GSH量は投与後1~8時間まで,対照群と比較し低値で推移した。一方,血漿中では,GSH生合成に関わるアミノ酸濃度及びGSH濃度等にBSO投与による変動が認められた。これらの結果をもとに,肝臓中GSH量と血漿中各測定項目との相関を調べたところ,肝臓中GSH量の変動を単一項目で説明するのは困難であった。しかしながら,重回帰分析の結果,肝臓中GSH量を説明し得る良好な回帰式が得られ,肝臓中GSH量を推定可能なBMとして,血漿中GSH,アルギニン及びクレアチン濃度等が有用であることが明らかとなった。
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© 2012 日本毒性学会
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