抄録
(独)医薬基盤研究所と(株)日立製作所はトキシコゲノミクスプロジェクト(TGP),ならびにトキシコゲノミクス・インフォマティクスプロジェクト(TGP2)を通じてTG-GATEs(Toxicogenomics Project-Genomics Assisted Toxicity Evaluation system)システムを開発致しました.TG-GATEsは215の化合物のラット個体およびラット・ヒト幹細胞へ暴露した際の毒性情報および遺伝子発現情報などを収載した大規模データベースと解析,毒性予測システムから構成されます.解析機能としては代表的な解析機能を備えるとともに,Base Viewという独自の発現スコア表示機能を開発致しました.BaseView機能では登録した複数のバイオマーカー単位で遺伝子発現値のスコア値をヒートマップ形式,ならびにレーダーチャート形式で表示をすることができます.in vivo, rat in vitro, human in vitroを1画面に表示が可能であり,化合物の発現変動を直感的に判断することが可能です.BaseView機能では注目したバイオマーカーにフォーカスして化合物横断的なスコアの差異,個別プローブのコントロール個体に対するレシオ値,ラットとヒトのオーソログ遺伝子の発現値の特徴を見ることができます.また毒性予測システムとしてはPAM(Prediction analysis for Microarrays)とSVM(Support Vector Machine)の二つの判別分析モデルを用いての判別分析が可能です.トレーニング,バリデーション結果を確認し,必要に応じてFalsePositive等を除いて判別器を改善する機能,ならびに作成した判別器を毒性未知サンプルに対して複数回の判別分析を1度の解析指示により実施可能な機能を開発致しました.本学会ではそれら機能と応用例について紹介いたします.