日本毒性学会学術年会
第39回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-77
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ウサギにおけるイヌG-CSFの影響
*泉 幸子齋藤 敏樹上塚 浩司山元 哲岩田 晃土井 邦雄
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抄録
【目的】顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)は,好中球前駆細胞の増殖や分化の促進,また成熟好中球の活性化に作用することが知られている.今回,開発中のイヌのG-CSF製剤をウサギに投与し,末梢血中の好中球(偽好酸球)の変化及び抗原性を調べたので報告する.
【材料及び方法】日本白色種ウサギ(JWY-NIBS,3~4カ月齢)を用い,G-CSF製剤投与群(G群)及びG-CSF製剤とアジュバントの乳化物投与群(GA群)を設定した.G-CSF製剤(2.5μg/kg/day)を9週間にわたって毎週1日1回,2日間連続皮下投与した.各週の第1回投与前(Pre),第1回投与後24h及び48hに耳介静脈より採血し血液学的検査を,Pre採血時の血清を用いG-CSF抗体価の測定を行った.最終採血後に剖検し,肝臓,脾臓,腎臓,大腿骨(骨髄)を採取し病理組織学的検査を行った.
【結果】G及びGA群において,Preに比して白血球数,偽好酸球百分比の有意な高値あるいは高値傾向がそれぞれ投与1~5週及び投与1~3週に認められた.ELISA抗体価はG群で投与6週以後,GA群で投与3週以後,第1週の値に比して有意な高値を示した.
【考察】抗体価の上昇に伴いG-CSFの作用は徐々に消失し,それはアジュバントにより増強されたことから,G-CSFに対する抗体による干渉が明らかとなった.本実験と同条件で行ったイヌを用いた実験(所内データ)では,約50%のイヌに弱い抗体産生がみられたが投与期間を通じて好中球は増加した.比較対照としたヒトG-GSF製剤投与群では投与5週以後抗体価は上昇し,それに伴いG-CSFの作用は消失した.よって異種動物由来G-CSFを投与した場合,類似した抗体産生過程を示しG-CSFの作用が抑制されると考えられた.実施中の組織学的検査結果も合わせて報告予定である.
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© 2012 日本毒性学会
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