抄録
【方法】平成13年~22年に承認された市販薬234剤について、5%以上の発現頻度が認められた臨床副作用を調査・解析した。これらの臨床副作用について、発現件数の多かった副作用を明らかにするとともに、副作用分類毎の発現割合を比較した。また、個々の副作用および副作用分類毎に、非臨床毒性からの予測性を解析し、予測性が高かった、あるいは予測性が低かった副作用および副作用分類を明らかにした。
【結果】発現件数が多かった副作用は、頭痛、発熱、悪心、軟便・下痢、吐気・嘔吐、腹痛、便秘、ALT増加、AST増加、倦怠感・疲労、注射部位反応、発疹等であり、その種類は多岐にわたっていた。副作用分類毎の発現割合では、消化器、中枢神経系、肝胆道系の割合が高く、全体の70%を占めた。非臨床毒性からの予測性が60%を超えた副作用は食欲不振、嘔気・嘔吐、悪心、軟便・下痢、注射部位反応、白血球減少、口渇、AST増加、肝機能異常、傾眠であり、現状の非臨床試験の検査項目でカバーできるものが多かった。予測性が40%未満の副作用は倦怠感・疲労、頭痛、不眠、めまい、そう痒、腹痛等、現状の非臨床試験の検査項目ではカバーが困難なものが多かったが、血圧上昇、発熱、トリグリセライド上昇、発疹、咳嗽等、現状の検査項目でカバーできるものも複数含まれていた。副作用分類毎の予測性では、発現割合が高かった消化器、中枢神経系、肝胆道系のうち、消化器および肝胆道系は予測性が60%を超えていたが、中枢神経系は20%未満であった。また、その他の副作用分類のうち、投与部位、血液、口頭・咽頭は予測性が80%を超えていたが、皮膚、循環器、全身、代謝、呼吸器は40%未満であった。
【結論】臨床副作用や副作用分類により、非臨床毒性からの予測性は大きく異なり、現状では予測性が低い副作用について、予測性を高めるための対策が必要と考えられた。