日本毒性学会学術年会
第40回日本毒性学会学術年会
セッションID: S3-1
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シンポジウム 3 日本薬理学会との合同シンポジウム「薬物乱用・依存性を考える」
依存性ガイダンスの国際比較
*西村 拓也
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抄録
毒性試験に関するガイドラインは諸外国ともに各国で独自に制定されていたが,医薬品開発のグローバル化とともに国際的に新薬申請資料の調和を図る必要性から,ICH(日・米・EU医薬品規制調和国際会議)において標準化が進められている。依存性に関する毒性試験についても同様であり,ICH-M3(R2)(2010年)の「薬物乱用に関する非臨床試験について」の項において依存性についての基本的な評価方法が示されることとなったが,その具体的な試験実施については,各規制当局の薬物乱用に関する非臨床ガイダンスを参考に検討することとされている。参考とすべきガイダンスとして,本邦においては,「薬物依存性に関する動物実験と臨床観察の適用範囲と実施要領について」(昭和50年薬麻第113号)等が通知されており,欧州EMAにおいてはGuideline on the Non-clinical Investigation of the Dependence Potential of Medicinal Products(2006年),米国FDAにおいてはガイダンス案ではあるが,Guidance for Industry: Assessment of abuse potential of drugs (2010年)が発出されている。これらの通知では共通して,薬物の乱用の可能性及び乱用による医薬品の開発や臨床使用でのリスクを最小化することを目的として,新規中枢神経作用を有する薬物について実施を検討すべき非臨床試験について概説されているが,その内容についてはそれぞれ特色がある。本発表では,各規制当局から公表されているこれらの依存性ガイダンスにおける依存性評価方法や試験実施方法等の比較を通じ,本邦における医薬品の依存性の毒性評価の基本的な考え方について,本邦における承認審査に関わる事項もあわせて概説したい。
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© 2013 日本毒性学会
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