日本毒性学会学術年会
第40回日本毒性学会学術年会
セッションID: S5-1
会議情報

シンポジウム 5 抗がん剤の副作用対策の進歩
抗がん剤の副作用対策の現状と問題点
*山本 信之
著者情報
キーワード: 抗がん剤, 副作用, 支持療法
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
分子標的薬の登場により,がんの薬物療法の治療成績は飛躍的な進歩を遂げている。例えば,EGFR遺伝子変異陽性肺癌に対してEGFRチロシンキナーゼ阻害剤を使用すれば,従来の抗がん剤治療と比較して,がんの増悪までの期間が2倍に延長することが報告されている。しかし残念ながら治癒することは非常に稀であるため,がんを抱えながら生活する時間が長くなることになる。必然的に抗がん剤の投与期間も長くなるため,抗がん剤に対する副作用対策は以前よりもより重要な役割を持ってきている。また,分子標的薬は従来の抗がん剤とは異なる副作用プロファイル(皮疹,薬剤性肺炎,高血圧等)を有するため,その対処について新たな工夫が求められる。さらに上述のように分子標的薬剤で治癒するわけではないため従来型(殺細胞性)の抗がん剤治療もいまだに重要であり,それらに対する副作用対策も必用である。すなわち,がん薬物療法の進歩にも関わらず,未だに副作用の無い抗がん剤は開発されておらず,逆に,10年前と比較してより複雑で長期間にわたる副作用対策が必要になってきている。
著者関連情報
© 2013 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top