日本毒性学会学術年会
第40回日本毒性学会学術年会
セッションID: S13-3
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シンポジウム 13 DOHaD (Developmental Origins of Health and Disease):後発的に顕在化する発達期の影響
自閉症スペクトラム障害発症の危険因子:浜松母と子の出生コホート研究(HBC Study)の知見から
*土屋 賢治
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抄録
自閉症スペクトラム障害は,3つの行動異常(対人関係の障害,意思伝達の障害,興味・関心の著しい偏り)を主徴とする,乳幼児期発症の神経発達障害である。その有病率は,今日,学童の2~3%に上り,早期発見と教育的介入による予後改善の試みが行われている。一方,発症の原因が特定されていないため,疫学的手法によってcausal factorの検索範囲を絞り込むことが,治療法開発に向けた重要な戦略である。これまでに,疫学的手法から,低出生体重と父親の年齢が重要な危険因子候補であることが示されており,これらの知見は次の生物学的研究の方向性を指し示している。演者らは,2007年,研究プロジェクト「浜松母と子の出生コホート研究(HBC Study)」の運営を開始した。1200組の母子の参加を得て,子どもの発達を長期的に追跡する研究であり,特に,自閉症スペクトラム障害児の特異的な発達的軌跡を描出することを目指している。発表では,今日の子どもの神経学的発達軌跡を疫学的手法によって描く意義について述べたのち,いくつかの危険因子候補が発達軌跡に及ぼす影響を提示し,その背景を考察する。
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© 2013 日本毒性学会
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