日本毒性学会学術年会
第40回日本毒性学会学術年会
セッションID: O-27
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セッション6 代替法-1
HepaRG®細胞を用いた薬物誘発性胆汁酸依存的肝毒性の評価系の確立
*薄田 健史関根 秀一荻村 栄一郎橋元 希美伊藤 晃成堀江 利治
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抄録

[目的]肝臓の毛細胆管側膜に発現しているbile salt export pump(BSEP)は、胆汁酸を毛細胆管に排泄するトランスポーターであり、BSEPの機能阻害は肝細胞内での胆汁酸の蓄積を引き起こし胆汁うっ滞型肝障害の原因となる。Glibenclamide(Glib), Cyclosporin A(CysA)等の多くの薬物でBSEPの機能低下が報告されており、我々はこれまでに(1)サンドウイッチ培養肝細胞(SCH)を用いて胆汁酸の蓄積に伴う肝毒性の評価法を確立し、Glib を含む一部の薬物の代謝過程がBSEP阻害に影響すること(2)Glibによる胆汁酸依存的肝毒性においてヒトとラット間に種差が存在することを明らかにした。しかしヒトSCHは汎用することが難しいなどの欠点があることから、本研究においては、ヒト肝癌由来細胞HepG2細胞と比較して各種代謝酵素やBSEPが発現するHepaRG®細胞を用いて、本評価系におけるヒトSCHの代替法としての可能性を検討した。[方法]ヒトSCH及びHepaRG®細胞に薬物と胆汁酸を曝露し、薬物によるBSEP阻害に伴う胆汁酸の蓄積に起因する細胞毒性を評価した。同時に、Taurocholic acidの3H標識体を用いて、Biliary Excretion Index(BEI)法により、薬物のBSEP阻害能を評価した。被検薬物としてラットSCHで胆汁酸依存的肝毒性が認められたGlib 50µM及び CysA 10µMを選択した。[結果、考察]HepaRG®細胞においてはCysA 10µMのみが毒性及びBSEPの機能低下を示し、ラットにおいて毒性が見られたGlib 50µMではBSEPの機能阻害及び胆汁酸依存的肝毒性も見られなかった。ヒトSCHと同様の結果が得られたことから、HepaRG®細胞が本評価系においてヒトSCHに代替できる可能性を示した。

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© 2013 日本毒性学会
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