日本毒性学会学術年会
第40回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-182
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一般演題 ポスター
LLNA:DA法及びh-CLAT法を用いたアクリレート及びメタクリレートの感作性評価
*小濱 とも子五十嵐 良明清水 久美子内野 正秋山 卓美
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抄録
【目的】メタクリル酸エステル(メタクリレート)及びアクリル酸エステル(アクリレート)は接着剤,塗料,家具及び合成樹脂原料として用いられており,室内空気中に放散していることがわかっている。フマル酸ジメチルはソファに防カビ剤として使用され皮膚障害が頻発したことから欧州では使用中止となっているが,類似構造を有するメタクリレート及びアクリレートの皮膚感作性評価は十分でない。本研究では,OECDガイドラインに採用されたLLNA:DA法と,動物実験代替法として期待されているh-CLAT法を用いて,これらの感作性を評価した。【方法】LLNA:DA法:CBA/J系統雌性マウスの両耳を1% SLS溶液で処理した後,アセトン-オリーブ油(4:1)に溶解した各濃度の試験物質を25 µlずつ塗布した。1, 2, 3及び7日目の計4回塗布を行い,8日目に耳介リンパ節を採取し,リンパ節細胞を遊離させ,市販キットを用いてATP量を測定した。h-CLAT法:ヒト単球由来THP-1細胞に試験物質を加えて24時間培養した後,FITC標識抗体で染色し,フローサイトメーターによってCD54及びCD86抗原量を測定した。【結果および考察】LLNA:DA法については,中程度の強度を有する陽性感作性物質のα-ヘキシルシンナムアルデヒド及びフマル酸ジメチルを同時に試験し,感作性強度を比較した。アクリル酸メチル,アクリル酸エチル,アクリル酸ブチル,アクリル酸2-エチルヘキシル,アクリル酸2-ジメチルアミノエチル,アクリル酸2-ヒドロキシエチル及びアクリル酸は全て陽性と判定された。h-CLAT法においてアクリル酸2-ヒドロキシエチルは最も感作性が強いと評価されたが,アクリル酸2-エチルヘキシルは陽性基準を超えなかった。感作性の有無に関してはh-CLAT法とLLNA-DA法とでほぼ一致した結果が得られたが,感作性強度の順序に関しては大きく異なった。試験物質の溶解性及び細胞毒性強度が結果に大きく影響することが示唆された。
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© 2013 日本毒性学会
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