日本毒性学会学術年会
第41回日本毒性学会学術年会
セッションID: O-20
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一般演題 口演
プロポフォールのヒト肝臓、小腸及び腎臓ミクロゾームによるグルクロン酸抱合反応:UGT1A9の組織分布性と役割
向井 麻莉奈田中 佐和子山本 康平村田 実希郎岡田 賢二重山 昌人*比知屋 寛之埴岡 伸光
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抄録

【目的】臨床においてプロポフォールを適正に使用するためには、肝臓及び肝外組織に発現しているUGT1A9のプロポフォールに対する代謝能の基礎研究に基づく詳細な解析が必要不可欠である。そこで本研究では、ヒトの肝臓ミクロゾーム(HLM)、小腸ミクロゾーム(HIM)及び腎臓ミクロゾーム(HKM)を用いてプロポフォールグルクロン酸抱合反応におけるUGT1A9の役割を明らかにするためにin vitro解析を行った。
【方法】HLM、HIM及びHKMにおけるUGT1A9酵素タンパク質の発現は抗ヒトUGT1A9抗体を用いたイムノブロッティングにより解析した。プロポフォールグルクロン酸抱合活性は、プロポフォール(5–1000 μM)をミクロゾーム画分(HLM及びHIM,20 μg protein;HKM,5 μg protein)と37ºCで10分間(HLM及びHKM)あるいは40分間(HIM)反応し、生成したプロポフォールグルクロニドをHPLCによりそれぞれ定量することにより測定した。
【結果・考察】ミクロゾーム画分におけるUGT1A9酵素タンパク質の発現量は、HKM>HLM≫HIMであった。プロポフォールグルクロン酸抱合反応の速度論的挙動は、HLM及びHKMでは基質阻害を示したのに対し、HIMではMichaelis-Menten式に従った。また、速度論的パラメーター値もミクロゾーム間で大きく異なり(Km,HIM≫HLM(41.8 µM)≒HKM;Vmax,HKM>HLM(5.21 nmol/min/mg protein)≫HIM;CLint,HKM≫HLM(126 µL/min/mg protein)≫HIM)、Vmax値とミクロゾーム画分のUGT1A9酵素タンパク質の発現量は概ね相関するものであった。これらの結果より、プロポフォールのグルクロン酸抱合反応には肝臓と同様に腎臓に発現しているUGT1A9も重要な役割を担っていることが示唆された。

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© 2014 日本毒性学会
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