日本毒性学会学術年会
第41回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-123
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一般演題 ポスター
Myeloperoxidase活性を用いた薬物誘発性無顆粒球症スクリーニング法の有用性
*金子 真代田 和彦佐々木 誠湊 宏一藤方 明
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抄録
近年、非臨床試験からの予測が困難な特異体質性の薬物毒性について、その回避を目的とした研究が活発に行われている。無顆粒球症は多くの医薬品で報告されている特異体質性の薬物毒性であり、その頻度は低いものの、致死性を有し、発症時には薬物の使用を中止する必要がある重篤な副作用である。そのため、新規医薬品の開発時には、無顆粒球症発症リスクの低い化合物を選択することが望まれるが、無顆粒球症の発症メカニズムは未だ十分に解明されておらず、現状ではリスク回避のためのスクリーニング系は確立されていない。複数の医薬品において無顆粒球症の発症メカニズムに好中球で高発現しているMyeloperoxidase(MPO)の関与が示唆されていることに着目し、今回、MPOの酵素活性への影響を指標とした無顆粒球症のin vitroスクリーニング法の有用性について検討した。医薬品添付文書の副作用情報において無顆粒球症の記載の有る化合物20種、及び記載の無い化合物8種について、recombinant human MPOによるTaurineのハロゲン化酵素活性への影響を調べた。MPO活性は、Taurineのハロゲン化代謝物に対する3,3’,5,5’-Tetra-methylbenzidineによる呈色反応を行い測定した。その結果、MethimazoleやClozapineなど多くの化合物で濃度依存的なMPO活性の阻害が確認された。各化合物の阻害の程度を、得られた IC50、及び臨床における最高血中濃度を考慮した基準で分類したところ、副作用情報での無顆粒球症発症の有無と関係性が認められた。以上の結果から、MPO活性を指標としたスクリーニング法が無顆粒球症発症のリスク回避に有用である可能性が示唆された。
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© 2014 日本毒性学会
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