日本毒性学会学術年会
第41回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-124
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一般演題 ポスター
薬剤性過敏症の発症機序に関するマウスアレルギーモデルの検討
*檜杖 昌則(Ervin)Xu ZHUJessica WHRITENOUR
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抄録
薬剤性過敏症を予測する評価系として,リンパ節増殖アッセイ(Lymph Node Proliferation Assay : LNPA)を改変したマウスアレルギーモデルの検討を行った。本検討では,薬剤性過敏症を予測しうるパラメーターおよび本反応の機序を調べる目的で,薬剤性過敏症を惹起する薬物の投与による流入領域リンパ節のリンパ球数およびリンパ球のフェノタイプ変化について評価した。陽性対照薬(薬剤性過敏症を惹起する薬剤)としてabacavirおよびアモキシリンを,陰性対照薬としてはメトホルミンおよびシメチジンを用い,マウスに各薬剤(100 mg/kg)または溶媒を1日1回3日間皮下投与し,投与後2日に上腕リンパ節の細胞を採取してフローサイトメトリーでフェノタイプを分析した。
陽性対照薬投与群では,溶媒対照群に対して有意な総細胞数の増加が認められた。また,溶媒対照群および陰性対照群に対して,CD4陽性T細胞,CD8陽性T細胞およびB細胞の増加が認められた。さらに,ナイーブT細胞の比率が有意に低下し(溶媒対照群に対し~25%減),一方,L-セレクチン(CD62L)およびCD44陰性T細胞の比率が上昇した(溶媒対照群に対し~27%増)。陰性対照薬はこれらの発現をわずかに変化させたが統計的に有意な変化ではなかった。また,abacavir 24時間処置によりリンパ節におけるCD11c陽性樹状細胞の増加がみられた。
以上のように,薬剤性過敏症を惹起する薬剤は流入領域リンパ節の細胞数を増加させ,また細胞のフェノタイプを変化させた。接着分子の発現変化および樹状細胞の出現が認められたことから,薬剤性過敏症惹起によるリンパ球の2次リンパ組織への移行および初期獲得免疫反応が示唆された。
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© 2014 日本毒性学会
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