日本毒性学会学術年会
第41回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-146
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一般演題 ポスター
ヒトiPS由来心筋細胞を用いた多電極アレイシステムによる催不整脈作用評価系の検証2-MCSを用いた検証
*国松 武史本田 弥生野﨑 裕美子渡辺 仁山西 充洋遠藤 裕子篠﨑 順子野川 央齋木 翔太永沢 千穂中森 智昭高橋 越史宮本 香織
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抄録
 TdP(Torsade de Pointes)は、心室細動や心突然死を引き起こす致死性の多型性心室頻拍であり、先行して認められるQT延長が催不整脈作用の指標として用いられている。現在、非臨床試験では、in vitroのhERG assayとイヌ及びサルなどを用いたin vivo心電図実験によりQT延長作用を検出することが世界標準となっている。
 しかし、hERG assayはhERGチャネルのみに対する作用を評価する系であり、マルチチャネルに影響する化合物の評価は十分ではない。また、動物実験でのQT延長作用とヒトでのQT延長/催不整脈作用の間には必ずしも相関しないケースが存在し、その一要因として種差が指摘されている。
 現在、この状況を打開しうる新たな研究プラットホームとして最も期待されているのが、「ヒトiPS/ES細胞由来心筋細胞(hiPS/ES-CMs)を用いた心毒性評価システム」である。
 多電極アレイシステム(MEA)は、播種した細胞の細胞外電位を測定できるシステムであり、これを用いて測定したhiPS-CMsの細胞外電位は、心電図に類似した電位変化を示す。細胞外電位における始めの鋭い大きな波形と2つ目の緩やかな波形が基線に戻る点の2点間隔(FPD)は、心電図におけるQT間隔に相当し、化合物のQT延長作用を予測しうるという報告がある。
 現在我々は、製薬協主催「ヒトiPS細胞応用安全性評価コンソーシアム」を母体として、hiPS/ES-CMsを用いたQT延長及び催不整脈の評価系の確立を目指し、検証実験を行っている。その一環として、国内製薬会社5社において、MEAのうち、MCS(Multi Channel Systems)社製MEAを用いて、モデル化合物のFPDへの影響および不整脈波形誘発の有無等の検討を行っている。今回は、各社のデータ及び本評価系の施設間差について報告する。
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© 2014 日本毒性学会
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