抄録
国際的な化学物質管理に関する戦略的アプローチ(SAICM)に沿って化学物質を適切に管理するためには、化学物質の有害性と暴露を定量的に評価し、ヒト健康と環境影響に関するリスクを科学的に解析することが重要である。
アルキルポリグルコシド(AG)は高級アルコールとグルコースから合成される非イオン界面活性剤であり、台所用洗剤、住居用洗剤、身体洗浄料、シャンプー等に幅広く使用されている。ヒトへの暴露量算出においては、AGの多様な使用実態を考慮し、製品使用による経皮および経口暴露に加え、産総研-水系暴露解析モデル(AIST-SHANEL)を用いて算出した環境経由の経口暴露を検討した。
環境暴露評価において河川水中の化学物質濃度を推算する際には、物理化学的性状や河川の流量、水質など多くの要因を検討する必要がある。今回、化学物質の河川水中濃度に大きく寄与することが知られている河川水半減期に着目して検討した。河川水中のAGを分析する手法を確立した上で都市河川水を用いた River die-away試験を実施し、反応速度論を用いて解析することで実環境を考慮したより現実的な河川水半減期を見積もった。
生分解予測モデル(CATALOGIC)、眼刺激性代替試験(STE試験)などin silicoおよびin vitro評価手法についても検討したので併せて報告する。