日本毒性学会学術年会
第41回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-221
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新規麻薬α-PVPはドパミン神経系を刺激し、自発運動量の増加を引き起こす
*光本(貝崎) 明日香田中 佐知子沼澤 聡
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抄録
【目的】カチノンはCatha edulis (khat)から得られるモノアミンアルカロイドである。カチノン構造類似体である合成カチノンは中国・インドで合成され、世界中に流通している。1-phenyl-2-(1-pyrrolidinyl)-1-pentanone (α-PVP)は、2013年3月に新たに麻薬指定された新規の合成カチノンである。我々は、2012年度に「ハーブ」や「バスソルト」などと称して販売されている薬物が、主に合成カチノンを含有しており、その多くはα-PVPであることを明らかにした。「ハーブ」や「バスソルト」を使用した者が、重大な交通事故を起こしたり、健康被害を被ったりする事例が相次いで報告されており、大きな社会問題となっているが、α-PVPの生体作用は明らかではない。そこで本研究では、α-PVPが中枢神経系に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。
【方法】自発運動量の測定:Balb/c雄性マウスにα-PVP (25 mg/kg)または水(10 mL/kg)を21日間投与し、1, 7, 14, 21日目に自発運動量を計測した。また、D1受容体拮抗薬SCH23390 (50 µg/kg, i.p.)および/またはD2受容体拮抗薬スルピリド(50 mg/kg, i.m.)を前投与し、自発運動量を計測した。ドパミン量の測定in vivo マイクロダイアリシス法を用いて、α-PVP投与後の細胞外ドパミン量の変動を検討した。その他、ドパミン取り込み測定、免疫組織染色を行った。
【結果および考察】α-PVPは、投与後速やかに自発運動量の増加を引き起こしたが、長期投与することにより、その作用は減弱した。α-PVPは、細胞外ドパミン量の上昇を引き起こした。SCH23390およびスルピリド前処置により、α-PVPによる自発運動量の増加は有意に抑制されたことから、α-PVPはドパミン神経系を刺激し、ドパミン量を増加させることで、自発運動量の増加を引き起こすこと、また、その作用には、D1およびD2受容体が関与していることが明らかになった。
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© 2014 日本毒性学会
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