抄録
【背景と目的】皮膚刺激性の評価は主に実験動物を用いて行われてきたが、動物愛護への配慮等から再生ヒト表皮を用いたin vitro試験法が、OECD毒性試験ガイドライン439として採択された。本試験法では単一化学物質原液の刺激性有無の判定が可能である。本研究では、ヒト3次元培養表皮モデルを家庭用洗剤・皮膚洗浄剤等の皮膚刺激性評価に応用することを目的とした。
【方法】ヒト培養表皮モデルは、OECD毒性試験ガイドラインに収載されているLabCyte EPI-MODEL24 SITを使用した。製剤の適用濃度以外はガイドラインに従い、前培養の後、各種被験製剤を15分間適用後、PBSで洗浄した。42時間の後培養を行い、MTT反応と吸光度測定にて細胞生存率を測定した。
【結果】 はじめに各製剤の原液を適用し皮膚刺激性の有無を判定した。細胞生存率が50%以下であれば刺激性、50%よりも大きければ非刺激性とした。判定結果とin vivo結果を比較し、刺激性の有無が予測可能であるかを検討した。一部を除いた製品群では動物試験の結果と一致し、本モデルが製剤評価にも使用可能であった。次に、同一製品群毎に異なる2濃度を設定し、各濃度における細胞生存率のパターンを製品間で比較した。その結果ヒト3次元培養表皮モデルにより家庭用洗剤・皮膚洗浄剤等の皮膚刺激性を相対評価できることが示唆された。