日本毒性学会学術年会
第41回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-63
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優秀研究発表 ポスター
難溶性化合物の光安全性評価のための micellar reactive oxygen species (mROS) assay の開発
*世戸 孝樹加藤 尚視山田 静雄尾上 誠良
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抄録

【目的】Reactive oxygen species (ROS) assay は擬似太陽光照射下で被験物質からの singlet oxygen (SO) 及び superoxide anion (SA) の産生を評価する光安全性評価ツールであるが,難溶性化合物への適用性が必ずしも高くない.そこで,本研究ではこの課題を解決するため,界面活性剤を用いて被験物質の溶解度を高めた新規評価系として micellar ROS (mROS) assay の開発を試みた.
【方法】ROS assay の反応混合液に0.5% (v/v) Tween 20 を加えた mROS assay について,光毒性化合物 methotrexate (MTX) 及び光毒性陰性化合物 erythromycin (ETM) を用いて評価系の再現性及び頑健性を検証した.83 種の化合物 (200 µM) を ROS assay 及び mROS assay を用いてそれぞれ評価し,予測精度及び適用性について比較・検証を行った.
【結果・考察】mROS assay の日内及び日間変動はどちらも ROS assay と同等であり,MTX 及び ETM の ROS data から求めたZ’-factor は SO で 0.58 及び SA で 0.95 であった.すなわち,mROS assay は良好な再現性及び頑健性を有することを示唆した.評価可能な化合物数はROS assay で 58 化合物 (69.9%) であったのに対し,mROS assay では81 化合物 (97.6%) であり,すなわち 0.5% (v/v) Tween 20 の添加により評価可能な化合物数を増加させることに成功した.一方,mROS assay でのみ 2 化合物を偽陰性と判定し,mROS assay の予測精度は ROS assay に劣ることが分かった.そこで,ROS assay 及び mROS assay の順に組み合わせて 83 化合物について評価を行ったところ,偽陰性を認めることなく 82化合物 (98.8%) を評価することが可能であった.
【結論】mROS assay は難溶性化合物の光安全性評価に適したツールであり,ROS assay との組み合わせにより,創薬初期段階での光安全性評価に大きく貢献するものと期待する.

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© 2014 日本毒性学会
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