日本毒性学会学術年会
第41回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-62
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優秀研究発表 ポスター
代替法を用いた皮膚感作性強度評価-in silico 法を用いた解析-
*跡部 朋美廣田 衞彦足利 太可雄上月 裕一
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抄録
【背景と目的】これまで化合物の安全性を予測するため、定量的構造活性相関を用いた多くの検討がなされてきた。しかし、化粧品素材の予測性の観点において、必ずしも満足できる結果は得られなかった。そこで、我々は構造情報を詳細に反映すると考えられる分子軌道から得られる記述子、および生体の複雑な機構を解明する手法として期待されるニューラルネットワークを用いて、化粧品素材のリスク評価を可能とするためのin silicoモデルの開発を試みた。また、in silico評価と複数のin vitro試験の組み合わせについても検討した。さらに、化合物の毒性発現機序を考慮した類似素材の安全性情報からread-across手法による予測も検討した。本報告では、皮膚感作性における評価に焦点を当てて報告する。
【方法】素材の三次元構造はChem3D Ultra Ver. 10.0を用いて構築し、分子軌道法から得られる記述子はMOPAC2002を用いて計算した。得られた記述子の中から予測に有効かつ独立な記述子を抽出し、Artificial neural networkを用いて解析した。また、化学構造のみならず、生物反応、毒性発現や経皮吸収性等の、毒性発現機構を基にした類似性の考え方の構築を行った。その考え方に基づいて得られた類似素材に関して、既存のデータベースを用いて安全性情報を収集し、皮膚感作性予測を行った。
【結果と考察】化合物206品で検討したモデルは概ね良好な予測性を示した(RMS error=0.64 、R=0.73)。また、類似素材の考え方を構築し、得られた類似素材の安全性情報から皮膚感作性予測を行った結果、ほぼ良好な予測結果が得られた。さらにin vitro / in silicoモデルとread-across手法を組み合わせることで、より適切な感作性評価が可能になることが示唆された。
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© 2014 日本毒性学会
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