日本毒性学会学術年会
第41回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-7
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優秀研究発表 ポスター
転写因子Nrf2の活性化を生じるCoriandrum sativum L.葉抽出物に含有される脂肪族親電子物質の実態解明
*安孫子 ユミ溝河 真衣熊谷 嘉人
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抄録
 [目的] Keap1/Nrf2システムは,抗酸化タンパク質,第二相薬物代謝酵素群および第三相トランスポーター群を包括的に制御する生体防御システムの一つである.転写因子Nrf2を負に制御するKeap1が親電子物質により修飾されると,Nrf2は活性化する.タンパク質世界中で広く摂取されるCoriandrum sativum L. 葉の抽出物 (CSLE) がNrf2を活性化することを示唆した報告はあるが,如何なる成分がCSLEによる本活性化に寄与するか不明である.そこで本研究では,CSLE中のNrf2活性化成分をUPLC-MSE解析を駆使して同定した.
[結果および考察] CSLEにHepG2細胞を曝露したところ,Nrf2の活性化および下流タンパク質の誘導が見られた.CSLE中のNrf2活性化成分を同定するために,CSLEを分取用液体クロマトグラフィーにてI~V画分に分離し,各画分にHepG2細胞を曝露したところ,何れの画分でもNrf2の活性化が見られた.この結果を支持するように,画分Iを除く何れの画分にもα,β-不飽和アルデヒド構造を持つ(E)-2-alkenalを基本骨格としたC10~C13の炭素数の異なる脂肪族親電子物質が含まれており,炭素数というよりもα,β-不飽和アルデヒド構造がNrf2の活性化に重要であると示唆された.これを支持するように,C3 の(E)-2-alkenalである(E)-2-butenal曝露ではKeap1の修飾およびNrf2の活性化が認められたが,α,β-不飽和アルデヒド構造を持たないbutanalではNrf2の活性化は認められなかった.本検討から,Coriandrum sativum L.葉は,Nrf2活性化能を有する (E)-2-alkenalを基本骨格とした炭素数の異なる複数の脂肪族親電子物質を含有する植物であることが示されたことになる.
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© 2014 日本毒性学会
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