日本毒性学会学術年会
第41回日本毒性学会学術年会
セッションID: S13-3
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シンポジウム 13 化学物質曝露と子どもの脳発達 ・・・発達神経毒性ガイドラインの現状と課題
ガイドライン試験を補完する新たな動物試験法:胎児あるいは新生児脳を用いた試験
*桑形 麻樹子
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抄録
一般的な発達神経毒性(Developmental neurotoxicity DNT) 試験は、生後に児の行動観察や神経病理学的観察を焦点として評価する。しかし、動物実験における行動試験は、飼育環境、行動試験実施環境、さらに実験者の操作などによっても影響をうけやすく、時には再現性が得られないこともある。また、DNT試験での神経病理組織観察方法についてもより詳細な議論は必要である。国際的動向ではメダカや細胞などを用いたin vitro DNT試験の開発も進んでいる。スクリーニング試験としての動物実験代替法はDNT作用の有無を予測することに有用であろう。しかし、ヒトへ外挿を考えると哺乳類を用いた動物実験は必須であり、得られたデータの重要性は高い。
本シンポジウムでは、胎児脳あるいは新生児脳に焦点をあてた新たなin vivo DNT試験の試みを、臨床あるいは動物実験にてDNTが確認されている化学物質(BrdU、バルプロ酸、フェニトイン、ヒ素etc)を暴露した動物モデルを用いて紹介する。得られた結果から、これらの化学物質の暴露により生後に発現するDNTが胎児あるいは新生児脳観察で予測でき、DNT発現機序のヒントも得られている。また、我々の実例を用いてDNT試験を実施する際の問題点や改良点(観察動物数、妊娠動物の作成方法、DNT誘発化学物質に対する胎児の感受性の違いなど)についても議論をしたい。
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© 2014 日本毒性学会
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